子宮内フローラ検査について
:妊娠への新しいアプローチ
不妊治療の分野で非常に注目されているのが「子宮内フローラ」です。
これまでは、子宮内は無菌状態であると考えられてきましたが、近年の研究により、子宮内にも細菌が存在していることが明らかになりました。妊娠・出産だけでなく女性特有のトラブルにも 影響を与えることが分かっています。
当院では、この子宮内の菌環境を詳しく調べる「子宮内フローラ検査」を導入しております。
良好胚を移植しても妊娠に至らない、あるいは流産を繰り返してしまうといったお悩みをお持ちの方にとって、
これまで知らなかった子宮内の菌環境を知ることで、新しい対策の糸口になる可能性があります。
1. 子宮内フローラとは?
私たちの体には、腸内フローラ(腸内の菌環境)と同じように、さまざまな場所に細菌が存在しています。
子宮内も同様で、特に乳酸菌の一種であるラクトバチルス属という善玉菌が豊富に含まれている状態が、妊娠に最適な環境であるとされています。
ラクトバチルスは、乳酸菌の一種です。子宮内のpHを適切に保ち、有害な細菌の増殖を抑えるバリアのような役割を果たします。
乳酸菌は糖を分解して乳酸を作り、その場の環境を酸性にします。
膣内や子宮内が酸性の環境となることで、良い細菌には心地よく、悪い菌には心地悪い状況となります。そうした環境にすることにより、悪い細菌から守ってくれ受精卵にとって最適な環境が出来上がります。
2. なぜ検査が必要なのか?
生殖補助医療(AR T)において、数回良好胚(質の良い胚細胞)を移植しても、着床に至らない場合を「反復着床不全」と呼びます。
その原因は多岐にわたります。子宮内フローラにおいては『子宮内のラクトバチルスの割合が90%以上』の女性の方が、そうでない女性に比べると「妊娠率」「生児獲得率(無事に出産に至る確率)」が有意に高いというデータが報告されています。
逆に、ラクトバチルスが極端に少なかったり、他の治療が必要な雑菌や病原菌が多かったりする状態では、着床を妨げてしまうことがあります。「子宮内フローラ」の状態を把握することで、移植前に最適な環境を整えることが可能になるため、状況に応じて検査することをすすめています。
3. 検査の方法と流れ
子宮内フローラ検査は、過度な負担をかけることなく受けていただけます。
1️⃣ 採取
: 細いカテーテルを使用して、子宮内膜の液や組織を少量採取します。
痛みは通常の体がん検診と同程度か、それより軽いことがほとんどです。
2️⃣解析
: 採取した検体を専門の検査機関へ送り、次世代シーケンサーと呼ばれる最新の機器で、
細菌のDNAを網羅的に解析します。
3️⃣ 結果
:約2〜3週間後、子宮内にどのような細菌がどの程度の割合で存在しているかがグラフ化され
レポートが届きます。
4️⃣結果に基づいたアプローチ
:検査結果により、子宮内環境が乱れていることが分かった場合は、以下のような対策を検討します。
⓵抗生剤の使用
:治療の必要な細菌(慢性子宮内膜炎の原因菌など)が見つかった場合、抗生剤内服と膣錠を使用して
子宮内フローらを整えていきます。
⓶ラクトバチルスの補充
:ラクトバチルスが不足している場合は、腟用サプリメント使用してを使用して、
子宮内のラクトバチルスを増やしていきます。
このサプリメントは移植周期の膣錠と併用できるため、検査後に移植を控えている方も安心です。(使用方法についてはスタッフにご確認ください。)
✳️最後に:前向きな妊活のために
不妊治療は、原因が分からない不安との戦いでもあります。
「なぜ着床しないのか」という問いに対し、子宮内フローラという視点を取り入れることは、すっきりしない不安を取り除く。1歩につながります。
当院では、最適なタイミングでの検査をご提案しております。
「これまでの治療で結果が出なかった」
「できる限りの準備をしたい」という方は、ぜひ一度、診察時にご相談ください。
健やかな子宮環境を整え、新しい命を迎える準備を一緒に始めていきましょう。
【当院の診療について】
お一人お一人の体調やライフスタイルに寄り添った丁寧なカウンセリングを大切にしています。子宮内フローラ検査の費用やスケジュール等、詳細は受付またはスタッフまでお気軽にお尋ねください。
根本産婦人科医院 院長 根本 央

