シミの種類 ①       後天性真皮メラノサイトーシス|笠間市の産婦人科・美容診療|根本産婦人科医院シミの種類 ①       後天性真皮メラノサイトーシス|笠間市の産婦人科・美容診療|根本産婦人科医院

ブログ BLOG

シミの種類 ① 後天性真皮メラノサイトーシス

後天性真皮メラノサイトーシス:ADM



そのシミ、肝斑じゃないかもしれません
             ──ADMについて」


シミの相談で来院される患者さんの中に、
「長年肝斑だと思っていたら違った」というケースが少なくありません。
その正体がADM(後天性真皮メラノサイトーシス:Acquired Dermal Melanocytosis)であることがあります。


📖 ADMは、メラニン色素を産生するメラノサイトが、本来存在すべき表皮ではなく真皮層(皮膚の深い部分)に異常分布することで生じる色素斑です。
後天性、つまり生まれつきではなく、思春期以降──多くは20〜30代に発症します。女性に圧倒的に多く、両側の頬骨部・こめかみ・鼻背・前額などに青みがかったグレー〜茶褐色の色素斑として現れるのが特徴です。


なぜ見分けにくいのか🧐

ADMが厄介なのは、肝斑や炎症後色素沈着と混在して存在することが多い点です。視診だけでは経験豊富な医師でも判断が困難です。


肝斑との主な違いを整理すると、
肝斑は表皮性でホルモンの影響を強く受け左右対称にぼんやり広がるのに対し、
ADMは真皮性で遺伝的素因が関与し、点状〜斑状でやや輪郭が明瞭という特徴があります。



原因と発症メカニズム

はっきりした原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的素因+紫外線+ホルモン変動が複合的に関与すると考えられています。アジア人女性に多い点から、人種的な素因も影響していると言われています。



治療について──真皮に届くアプローチが必要

ADMは真皮深層にメラニンがあるため、表皮にしか届かない外用薬・フォトフェイシャル・低出力レーザーでは効果が不十分です。「何年ケアしても変わらない」「他院でレーザーを当てたのに改善しなかった」という方の多くが、このアプローチのミスマッチによるものです。

ADMの治療に必要なのは、真皮層まで確実にエネルギーが届き、かつ周囲組織へのダメージを抑えられるレーザーです。

従来はQスイッチレーザー(ルビー・アレキサンドライト・Nd:YAGなど)が標準治療とされてきましたが、照射時間がナノ秒単位であるため熱によるダメージが生じやすく、照射後に炎症後色素沈着(PIH)が起きるリスクがありました。PIHが生じると治療間隔を長く空けざるを得ず、改善までの期間が延びるという課題がありました。

近年はより短いパルス幅で照射するピコ秒レーザーが普及しており、熱ではなく衝撃波でメラニンを粉砕するため、周囲組織へのダメージを抑えながら真皮のメラニンに効率よくアプローチできます。
2025年に発表された国内の研究でも、ピコ秒レーザーはADMに対して有効性が確認されており、特に真皮への到達深度が高い波長帯での治療成績が良好であることが報告されています。

ADMは複数回の照射が必要であり、治療の間隔や出力の調整も重要です。施術後のUVケア徹底とトラネキサム酸・ビタミンC内服を組み合わせた管理が、安定した改善への近道です。

「ケアを続けても変わらないシミ」
「正しい診断を受けたことがない」という方は、
まず何のシミかを正確に見極めることから始めましょう。ADMは適切な治療を選べば、改善が期待できる病変です。



                根本産婦人科医院    院長  根本 央